覗いた者は地獄に引き込まれる――そんな眉唾ものの呪物が、近くの博物館で展示されるという話を聞いた。
「先生……地獄鏡ってご存じですか?」
先生は珍しく少し渋い表情を見せる。
「……昨日、博物館の方からご相談がありましてね。 ……実物を持って」
「え……!?」
渋い表情なのはそのためか。
しかし、一体どういう理由で先生のところに――
「地獄鏡を展示しても良いかとのご相談でしてね」
「……なんと答えたんですか?」
ふう、とため息交じりに先生は答えた。
「――おやめなさい、と」
「……それほど、ヤバいですか?」
「私は、覗き込めませんでした」
それは――相当だな。
先生が拒むレベル――いや、だとすると。
「……この企画はまずいのでは」
「……困ったことに、私の反応を見てお喜びになったようでして」
「……マジかよ」
『本物』であるが故に集客が見込めるということか。
しかし、そうなると被害が出てしまう恐れが――
「――ですが、展示会は開かれないでしょう」
先生は、いつもの穏やかな笑みを消していた。
後日。
展示会は、中止になった。
関係者の一人は発狂し、別の一人は失踪――行方不明になり、さらにもう一人意識不明の重体とのことだ。
原因は、分からずじまいである。

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