退院当日。検査では特に異常は見当たらなかったらしく、それにあたしは胸を撫で下ろした。幸い検査の為の入院時間は桃奈が頭の整理をする時間にもなり、彼女なりに受け入れられたらしい。
全てが元通り。荷物をバッグに詰める桃奈を見ながらあたしは再度胸を撫で下ろす。
すると病室のドアが開いた。
「桃奈ぁ~」
病室に入って来た陽南はアタッシュケースを雑に手放し両腕を大きく広げると桃奈へ駆け寄った。そして桃奈が返事をする前に抱き付く。
「陽南姉」
「もぅ~。心配したんだからね」
「ごめん」
「桃奈が無事だっただけで十分。本当に良かった」
「うん。ありがとう」
強く抱き締める陽南を負けないぐらい強く抱き締め返す桃奈。二人は暫く久しぶりの再会も味わうように抱き締め合った。
「陽南。今回はどれぐらいいられるの?」
桃奈から離れた陽南にあたしはそう尋ねた。きっと忙しい合間を縫って来たんだろう。あまり長居はできないのかも。
「うーん。ずっと――かな」
少し意地悪でもするような表情を浮かべながら陽南はあたしの予想を軽く飛び越えた返事をした。
「私こっちに戻ってくることになったんだよね」
「えっ? ほんとに?」
でもあたしは驚きのあまりその言葉を疑った。
「本当よ。あっ、そうだ。実はまだ部屋決めてなくてさ。だから蓮。暫くいいかな?」
「別にいいけど」
「えぇー! 二人共一緒に住むの? いいなぁ」
口を尖らせ羨ましがる桃奈。
「僕も一緒がいいなぁ」
少し駄々をこねるような桃奈の頭を陽南が優しく撫でる。
「私もできることなら桃奈とも一緒がいいけど……。じゃあもういっそのこと新しい場所に三人で住んじゃう? 三人の会社の間ぐらいの場所に」
「えっ? 急にそんなこと言われても」
「やったー! それがいいなぁ」
急な提案に戸惑いはあった。だけどまた三人で一緒にいられるなら居たいという気持ちは確かにあって……。
だから断る理由なんてない。また大好きな二人と一緒になれる。それだけで心は踊った。
そのことが決まった後、みんな共通で五日ほど休みがあることが分かり――何して過ごそうか。話題は自然とそれに変わっていった。
「折角だし花見でもする?」
「僕、陽南姉のお弁当食べたい!」
「いいよ。桃奈の好きなやつ沢山作ってあげる」
両手を上げて喜ぶ桃奈を眺めながらあたしは一つ疑問を抱いていた。
「今ってそんな季節だっけ?」
「何言ってるの? 蓮」
「ほら、綺麗な桜が咲いてるよ」
桃奈が指差した窓の外では彼女の言う通り綺麗な桜が満開で咲いていた。
「ほんとだ」
「大丈夫?」
きっとここ最近、桃奈のことばかり考えていたから気が付かなかったんだろう。あたしはそうだと納得すると二人と一緒に今後のことを話し始めた。
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