ウィン国王のシガンは醜悪な笑みを浮かべている。
待ち望んだ瞬間が、今まさに訪れようとしているかー?らだ。
『世界融合』を目的とした【術式】である。
【術式】とは――人間の生命エネルギーを使用した特殊能力の一つであり、『印』と『言霊』を用いて『誰が使っても同じ効果が得られる』というものだった。
本来は『小さな怪我を治す』『火を灯す』『冷却する』など簡易なものが主だが条件を加えることで、より複雑な現象も引き起こせる。
仕組みを理解すれば、『どんな事でもできる』というのが【術式】の特徴であった。
『世界融合』――それは、『異世界を無理やり自分の世界に呼び込む』というもの。
そもそも『異世界』とやらが存在するかどうかも疑わしい。
成功するかどうかは、誰にも分からなかった。
この術式は単純なものではない。
幾万の言霊。
数百、数千組の印。
それでも発動には至らない。
唱える者の、命。
恐らくこの術式の作成者が、シガンが唱える事を想定して 発動者を死に至らしめる仕掛けと推測できた。
だが、シガンは気付いた。
唱えるのは、家族を人質にされたコウキンという男だった。
「さぁ、やれ」
剣の切っ先をコウキンに向ける。
コウキンは、冷や汗を垂らしながらこくりと頷いた。

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