「あれ、悠吾まだ帰らんの?」
「あぁ、人と帰るつもりだから」
「……え、そうなの? だれと?」
「佐川さん」
「へ……? 佐川さんって、うちのクラスのおとなしい眼鏡かけた佐川涼子さん?」
「随分と説明的だな」
「いや大事なんだよこういうの……それより、なんでそんなことになってんの?」
「なにが?」
「なにがって……付き合ってんの?」
「いや別に」
「……ん~? どういう状況?」
「いやなんかあの子ちょっと危なっかしくて」
「ほう」
「帰る方向は一緒だからさ、最初はたまたまだったんだけど」
「うんうん」
「なんかそのまま毎日帰るようになって」
「毎日?」
「うん」
「……毎日?」
「なんで2回」
「……いや大事なところだったから」
「それで、なんもないところで躓いたり、風にあおられて倒れそうになったり」
「……華奢だし、ちょっとどんくさそうだもんなぁ」
「なんか見てらんなくてさ。 事故でもあったら可哀想だし」
「……だから一緒に帰ってるのか」
「うん。 でも最近ちょっとまた心配で」
「どしたん」
「支えたりとか、倒れるの助けた時にいっつも顔赤いんだよ。 風邪かなぁって」
「……それは」
「まぁ毎日学校は来てるから大丈夫ではあるんだろうけど」
「照れてたんじゃ――」
「うん?」
「いや……何でもない」
「そか。 あ、そろそろ行くわ」
「お……おう。 また明日」
ガラガラ
「あ……」
「甘酸っぱいなぁ……!」
柚子原は叫びたくなった。

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