アイアンフィスト ~異世界冒険者プロデューサーはブラックギルドを経営する~
朔來 織ファンタジー連載中
「この拳は、愛だ」――ドゴォッ!!——「ぶべらああぁぁっ!?」今日も王都の冒険者ギルドに、新人の悲鳴が響き渡る。その名も『アイアンフィスト』ギルドマスター、ロックス・リージェントの教育方針は至ってシンプル。殴る。治す。立たせる。そして、また殴る。すべては冒険者を死なせないため。それが彼の信念であり、愛なのである。だが、このギルドには奇妙な特徴があった。装備費、治療費、食費、宿泊費はすべてギルド負担。終業時間は厳守。残業代もきっちり支給。待遇は最高。訓練は地獄。では、何がブラックなのか?経営である。「だから経営がブラックなんですよ!」元聖女の受付嬢、ウィチタの怒号が今日も響く。しかし、ロックスの仕事は冒険者の育成だけではない。元放蕩貴族を一流の冒険者に。元アサシンを王都一の歌姫に。冒険者の才能を見いだし、引退後の人生までプロデュースする。さらに興行、飲食、宿泊、運送など、新たな雇用を生み出し、王都の経済まで動かしていく。そんなギルドに、一人の少年がやってくる。カイ・ホランド、十五歳。故郷の母と妹を養うため、冒険者を志した少年。彼を待っていたのは、容赦ない鉄拳と、個性が強すぎる先輩たち。そして――「ギルマスー!! 愛してるぞー!!」絶世の美貌を持ちながら、ギルドマスターを盲信する残念な剣聖。「可憐だ……」少年はまだ知らない。その一言が、とんでもない騒動の始まりになることを。最強なのに、どこか残念。ブラックなのに、待遇はホワイト。ふざけているようで、誰よりも冒険者の未来を考えている。鉄拳と笑いと少しの人情でお届けする、異世界ギルド経営&冒険者プロデュースコメディ!冒険者の未来は、拳で切り拓く。ただし、ギルドマスターの財布と肝臓の未来は保証されない。

