近くで悲惨な事件があった。
借金を苦にしての無理心中――父親は死にきれずに生きているが、妻と二人の子は亡くなってしまったという。
あまりにも話題になり、メディアにも大きく取り上げられたので普段はこういうのを取材しない俺のところにも『話を聞いてこい』との通達が出された。
こういう痛ましい事件を取材するのは、心が傷む。
『KEEP OUT』と書かれた黄色い規制線で囲まれた事件現場の家に着くと、事件から二日経っているにもかかわらずヒソヒソと話す中年の女性たちがちらほらいた。
話を聞いてみる。
「ここの家の方はお知り合いでしたか?」
「挨拶程度にはね。 でもいつも冴えない顔してたわ」
こんな事件でもあれば、後付けでそんな風にも思うだろう。
あまり信憑性のある話は聞けなさそうだ。
「……それより、事件のあとからね。この家から子供の声がするのよ」
「それは一体……どんなもので?」
あぁこりゃまた記事に出来ないぞ、とわかっていながらもつい自分の興味を満たす物を深掘りしてしまう自分が憎い。
「辛そうな、男の子と女の子の声で――」
「……それは――あ、いや……なんでもないです」
言いかけた言葉を止めた。
家の前を指さして、
『それはちょうどあそこに居る子供たちのような?』
……さすがに、ヤバいヤツと思われるのは勘弁だ。
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