——パァン——
——ドンッ——
レートは反射的にクロスを突き飛ばした。
弾丸が胸元を掠める。
——キィン!——
背後の鉄骨で火花が散った。
「伏せろっ!」
クロスは地面へ転がる。
そのまま体勢を低くする。
「高架橋!3時方向っ!」
ノアの声が響く。
瞳が鋭く深まる。
「二人!!」
——パンッ——
——パンッ——
乾いた銃声が連続する。
——ズザッ——
レートは崩れたコンクリートへ滑り込んだ。
「クランツ」
レートが問いかける。
クランツは一瞬、目を閉じる。
銃声。
足音。
反響。
風向き。
「…………」
すべてを頭の中で組み立てる。
「二人じゃない」
「え?」
ノアが振り向く。
「四人だ」
——カチャッ——
背後。
瓦礫の影。
新たな銃口が現れた。
「っ!?」
レートは即座に身体を反転させる。
——グイッ——
強引にクランツがレートの腕を引っ張る。
——パンッ——
弾丸がすれすれのところで外れる。
「助かった」
クランツは表情一つ変えない。
「ノア」
「右、移動開始」
ノアが再び視線を巡らせる。
「左は固定」
「左は囮だ」
クランツは即座に答える。
「レート。右を潰せ」
「了解」
——ダッ——
返事と同時にレートが走る。
爆発的な踏み込み。
「速っ……!」
敵が思わず声を漏らす。
銃口が追いつかない。
レートは一気に距離を詰める。
敵は咄嗟に後退する。
「左!」
ノアの声が飛ぶ。
——パンッ——
——ダンッ——
もう一人の敵からの援護射撃。
レートは横に跳んで躱す。
弾丸が頬を掠めて通り過ぎる。
「そのまま前っ!」
クランツの指示が飛ぶ。
——ダッ——
着地すると同時に迷いなく踏み込む。
敵との間合いが無くなる。
——ゴッ——
——カラカラッ——
レートの蹴りで、敵の武器が弾き飛ばされる。
「なっ!?」
残る一人が距離を取ろうとした。
「逃がさねえよ」
——ドンッ——
「かはっ——」
鳩尾へ一撃。
そのまま瓦礫へ叩き付けられる。
銃声が止む。
「エリア」
ノアは周囲を見回す。
「クリア」
「警戒継続」
クランツは高架の奥を睨み続ける。
高架橋のさらに上。
HOSTは微動だにしない。
仮面の奥。
その瞳は冷静にレートたちを眺めていた。
「なるほど」
ゆっくりと踵を返す。
「思っていた以上ですね」
言葉を残し、姿は溶けるように消えていく。
レートは周囲の警戒を解かない。
ノアは索敵を続ける。
クランツは次の伏兵を探している。
三人とも、勝ったという空気は微塵もない。
「…………」
クロスは立ち上がる。
「……終わりましたか」
服についた埃を払う。
クロスはレートたちを見ていた。
「確かに……」
微かに漏れた呟き。
その言葉は誰の耳にも届かない。
「だから、ORPHANだったのだな」
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