「あ、柚子原だ」
「相田さん……帰るとこ?」
「うん。 また明日ね」
「おう。 また明日」
「あ、涼子だ。 おーい、りょ――」
「ちょっとまったぁ!」
「……え、何いきなり」
「佐川さんはほっといてあげて……」
「は? なんで――」
「ほら、アレだよ!」
「……桜井くん?」
「そう! 一緒に帰ってんだよ!」
「え、知らなかった。 あの2人付き合って――」
「――ないんだよ。 まだ、なんだよ」
「ま……マジか」
「これから、なんだよ」
「……楽しみですなぁ」
「……そうだろそうだろ」
「かといって尾行するのはどうなん」
「いや知ってしまったら超気になる」
「ちょっとこれは俺の美学に反するなぁ」
「じゃあ帰ればいいじゃん」
「……もう少しだけ」
「お主も好きよのう」
「お代官様にはかないませぬ……あっ!?」
「え、なに?」
「佐川さんの手が……」
「……もしかしてあれ、手を繋ごうとしてる?」
「ちょ……でも躊躇いがちなのが初々しいんだけど……!」
「……涼子、頑張れ!」
「……あー、自転車来ちゃった」
「なんだよもう……邪魔な自転車が――」
「ああっ!?」
「桜井くんが――」
「佐川さんの肩を抱き寄せた!」
「もう、ちょコレ奇跡じゃない!」
「あぁもう尊すぎる!」
「……あ」
「……あ、ごめん」
興奮のあまり抱き合ってしまった柚子原と鈴子であった。
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