空間跳躍
一般的に古代の技術で再現不能と思われているが、そんなことはない。現実、十m以上の魔法陣と数十人での儀式で国家間の移動を行う技術は確立されている。
個人で行なうことは不可能と言う魔導学者が多いのだが、彼らは圧縮魔力回路の存在に気がついてないだけなのだと思う。
何でもぎゅうぎゅうに詰め込めば大概何でも出来る。その事に気付いていない人が多すぎるのだ。
私なら3mの真っ黒黒の魔法陣で空間跳躍が可能。マントに1mの魔法陣を3重に刻む事で、今回の砦からルヴェリーのところまで位の空間跳躍は出来る。
虎の子の魔力回路は少し方法が違っていて、触媒と言われる魔力を含んだ物質は魔法陣の大きさを小さく出来る。
魔力の強さによって大きさは大幅に小さく出来る。私は竜1頭分の血をぎゅうぎゅうにして小指の爪位に結晶化、魔法陣を刻み奥歯に仕込んでいた。
大体国家予算半年分くらいだからおいそれとは使えないけど、今回は命に代えれないから迷わず使った。
さて、問題です。なんでこんな風に現実逃避しているのでしょ〜か?
正解は
空間跳躍したけど、魔導鎧の魔力炉暴走に回路を破損させられて魔力が強い場所に無理矢理繋がられ、どこかの迷宮に飛ばされた。
そのうえ、迷宮の最深部だったらしく守護獣っぽいでっけー石のドラゴンに襲われているからで〜す。
「ぎゃああああああっっっ」
私の両手はルヴェリーを抱えてるから使えないのに、容赦なく私の背丈の倍以上の尻尾が横薙ぎで私たちを襲う。
ルヴェリーは全身火傷で虫の息。顔まで焼けただれてるから、早く治療しないと息すらできない。
素早く魔力回路を三つ展開。さすがに魔力が尽きてしまっている現在、魔力欠乏症の症状が出る。魔力の代わりに私の身体を代償に魔術が形成される。
こめかみから勢い良く血が噴き出る。しかし、後で治せばいいので無理やり行使する。
1つ目の回路が完成。ルヴェリーの顔と喉に緑の燐光が宿る。ジューっと音を立て皮膚と髪の毛が再生していく。ひとまず窒息死はなくなった。
私の後頭部からブチブチッ、パシューと、嫌な音がするが、見えないからセーフとする。
2つ目の回路の完成。ルヴェリーの周りに護りの赤い膜がまとわりつく。同時にルヴェリーを頭上に投げる。天井天井ギリギリ六メートルほどまで舞い上がるルヴェリー。
素早く足踏みを二回行い、全力で踏み抜き十センチほど足を床にめり込ませる。そのまま前傾姿勢をとり、しっぽを迎え撃つ。
三つ目の回路にはギリギリまで力を流し入れる。心臓が握りつぶされるような痛みに顔が歪む、代償を払いすぎた。
だがまだだ、私にはまだ魂が残ってる。きついがやるしか無い。
轟音を立てて太さ三m程の尻尾が私に迫る。右手をゆっくり上に、左手は下に構える。
私の両手と尻尾がぶつかり、とてつもない衝撃が私を襲う。めり込んだ足が床を壊しながら後退していく。さすがに拮抗は無理だったが、私が吹き飛ばされなかった時点で勝ちだ。
身体中の血が沸騰するかのように熱く、視界が真っ赤になるが、3つ目の回路が完成する。
「ディスインテ・グレイト」
私が触った尻尾から崩壊が連鎖して石のドラゴンは砂とかした。崩壊を司る伝説の魔法はどのようなものも、手で触ったものは全て砂に変える。
最後の気力を振り絞り駆け出し、落ちてきたルヴェリーをキャッチ。ゆっくりと床に置き、一息つく。
ここまでの間、約3秒。一生で一番濃い3秒間だったと思う。長い事生きてきたが、本気で動けなくなるかと思った……
守りきれた。
息を整える。しばらく視界は真っ赤だろうが、落ち着けば戻るだろう。それよりも、まずはルヴェリーだ。
本当に気休め程度の治癒の光を手から放出しながら、全身の火傷に生存できるギリギリの治療を行い、清潔な包帯を巻いていく。
ここまでの火傷は普通じゃ治らない。早急に治療の魔術を施したいところだが、並の量では傷口が残ってしまう。一気に治せるまではこの程度の治療に留めるしか無い。
魔力の枯渇で血肉を捧げ、息苦しい。しかし、できる所までやってしまわないと休むこともできない。
次に、スカートを切り裂いて、床に敷くとその上にルヴェリーをそっと寝かせる。
着ていた貫頭衣を脱いで切り裂いてからルヴェリーにそっとかける。
これでよし。
周りの探索を行なおう、守護獣がいた先を見ると杖が台座に刺さっている。あれはここの宝具なのだろう、宝具があり守護獣を倒したのだからここは安全と信じたい。
くるりと回り、扉は一つと確認したあと扉を調べるが特になにも無いのを確認し扉の外に出る。
扉の外は、扉の中と違い岩肌が広がる洞窟だった。恐らく天然の洞窟の先に守護獣を置いたのだろう。罠も十分考えられる慎重に進もう。
出会うのは、一流の戦士なら問題ないぐらいの魔物達で恐らく配置されたのではなく、守護獣の間にあった杖が呼びよせているのだと思われる。ここはかなり険しい地の洞窟なのだと推測する。
寒冷地ならではの毛が多い獣が多いので北なのは確定。ある程度魔獣を駆逐してから扉まで戻り、ポーチから瓶に入った胞子の詰め合わせを取り出し近くに撒く。この胞子は私が丹精込めて育てた特別製だ。
野営用の防御結界が込められた魔導具を発動させ、キノコが生えるまで横になり体を休める。
私は目を閉じるとすぐに意識を失った。
この作品が気に入ったら

コメント
まだコメントはありません。
会員登録(無料)かログインをすると、コメントを書けます。